シモーヌは、ホロコースト生還後に司法の世界から政治家へ。中絶法のみならず、出産に関する費用無償化や世界初のエイズ・サミット実現など人権擁護のために闘い続け、2017年に89歳で生涯を閉じた際には、国中がシモーヌ・ヴェイユ死去のニュース一色となり、国葬が執り行われ、キュリー夫人などの偉人たちが眠るパンテオンに5人目の女性として合祀された。本作の大ヒットはその人気が衰えないことを証明した。

◆エディット・ピアフ、グレース・ケリーに続く３部作のラストを飾る！

『エディット・ピアフ愛の讃歌』『グレース・オブ・モナコ公妃の切り札』に続き、世紀の女性を描くオリヴィエ・ダアン監督3部作の渾身のラスト。

シモーヌ本人とも親交があり深く尊敬するエルザ・ジルベルスタインが、8kg増量して臨んだ威厳ある演技は圧巻。

◆セザール賞2冠　衣装部門／美術部門（セットデザイン）受賞

当時を再現した豪華な美術や、カール・ラガーフェルドがシモーヌのために特別にシャネルのアトリエでデザインする程、ファッションも愛したシモーヌ・ヴェイユの衣装も見逃せない。

【あらすじ】

1974年パリ、カトリック人口が多数を占め更に男性議員ばかりのフランス国会。シモーヌ・ヴェイユ（エルザ・ジルベルスタイン）はレイプによる悲劇や違法な中絶手術の危険性、若いシングルマザーの現状を提示して「喜んで中絶する女性はいません。中絶が悲劇だと確信するには、女性に聞けば十分です」と圧倒的反対意見をはねのけ、後に彼女の名前を冠してヴェイユ法と呼ばれる中絶法を勝ち取った。

1979年には女性初の欧州議会議長に選出され、大半が男性である理事たちの猛反対の中で、「女性の権利委員会」の設置を実現。女性だけではなく、移民やエイズ患者、刑務所の囚人など弱き者たちの人権のために闘い、フランス人に最も敬愛された女性政治家。その信念を貫く不屈の意志は、かつてアウシュビッツ収容所に送られ、“死の行進”、両親と兄の死を経て、それでも生き抜いた壮絶な体験に培われたものだった－。

【スタッフ】

監督・脚本：オリヴィエ・ダアン『グレース・オブ・モナコ公妃の切り札』『エディット・ピアフ愛の讃歌』

撮影：マニュエル・ダコッセ『２重螺旋の恋人』

編集：リシャール・マリジ『エディット・ピアフ愛の讃歌』

衣装デザイン：ジジ・ルパージュ『グレース・オブ・モナコ公妃の切り札』

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